自分にとっての未知なる音楽・ミュージシャンに出会った時の興奮というのはなかなか言葉にしづらいもので、ウォー!だったりホッホ〜!だったりという感嘆符とほぼ変わらない音が漏れていくだけで、なにか明確な表現に到達しないことが多いのですが、このペトロールズの『Renaissance』に関してはクールなファンクネスとか大人の魅力とか後から考えれば色々と形容したくなるものの、とにかく聴いて欲しい、としか言いようのない抗えない魅力があります。
そもそも私はペトロールズのぺの字も知らなかったどころか、ギターとボーカル担当の長岡亮介さんが浮雲という名前で東京事変にギターとして参加していることも知りませんでした。*1
友人の結婚式二次会*2でDJをすることになり、そのネタを仕入れに代官山蔦屋書店に行ったところ、音楽フロアの新譜試聴コーナーにけっこうなスペースを取って展示してあったのがこのペトロールズの1stアルバム『Renaissance』と過去ライブ会場のみだったりとあまり多く流通していなかったEPたち。
よく見ると、他の新譜とはちょっと違った扱いで、「Daikanyama Design Department」という企画展の1パートとしての展示でした。
第3回目となる今年のメインテーマは「代官山クリエイション」、代官山界隈で活躍するデザイナーや建築家などさまざまなジャンルのクリエイターをご紹介します。蔦屋書店内各所で展示やお買い物をどうぞごゆっくりお楽しみくださいませ。
代官山T-SITE内のGARDEN GALLERYでは「カリモクニュースタンダード」の新作家具展示会(10/24〜28)、グランドセイコー55周年プロジェクト「Grand Seiko Through Three Photographer′s Eyes」の展示(10/30〜11/3)をご覧いただけます。
こんな内容の企画展示の中の一つにペトロールズの音源と 「代官山とわたし」ペトロールズ / 長岡亮介の世界 という代官山の町並みを紹介したマップの展示が含まれていました。いったいなんだこのシャレオツコーナーは。
コーナーにはスピーカーも設置してあり、小さな音で『Renaissance』がかかっています。ただ、私が一番初めに目に止まったのはその三角形の紙の変形型のCDケース。
そりゃあもうこんな陳列しづらい、昨今の店頭においては割りと化石状態になったのではないかと思わざるをえないその形状。ピチカート・ファイヴの一連の特殊ジャケットなどに一喜一憂した私世代の人ならある種のノスタルジーすら感じられるそのコダワリ。Apple Musicなどが便利に利用できる今となっては寧ろその存在意義に疑問を持たざるをえない「コダワリ」という名の概念。
そういった音以前の頭に浮かんで拭い去れないモヤモヤとしためんどくささ*3を感じながら試聴機に手を出そうとしたのですが、新譜である『Renaissance』はスピーカーで流れている為か試聴機には入っておらず(過去のEPたちが試聴可能でした)、オノレそう来たかとこちらも鼻息荒く新譜に対しては想像で補うことにしてとりあえずで旧譜であるEPの中から『idol』を選んで再生。1曲目の『ホロウェイ』のイントロのザクザクとした音像、ユニゾンしていくギターとベース、複雑なリズムでタイトに絡みつくドラム、一瞬で虜*4になりました。
トリオ編成でこれだけざっくり空間を使いながらドライブしていくバンドサウンドは、大好きなPINKCLOUD(Johnny, Louis & Char)を彷彿とさせます。つまりはCharですよ、チャー。
しかも彼らは既に結成10周年という。今までライブ会場などで限定EPを出したりといわゆるストレートな売り方ではなく、ライブをすることをメインにおいている主張のようなスタイルで活動を続け、10年経った今、このめんどくさいコダワリのCDジャケットを携えて、しかも代官山蔦屋書店のかなり良い場所を陣取っての展開です。
これはなんかスゴい好きな予感しかしないどうしよう。。。
そして、買って帰りました。
フリーペーパーみたいのもしっかりもらってきた。それがペトロールズ1stアルバム『Renaissance』です。
【送料無料】 ペトロールズ / Renaissance 【CD】 |
(このアルバム、デジタル配信は無いようです。Amazonではなぜかちょっと高い値段で売ってるお店もあるのでお値段に注意してください。)
家に帰る道すがらいてもたってもいられない私はネットで彼らのことを検索し始め、そのざっくりとして経歴とライブ映像をチェックしていました。
ペトロールズ - FUEL @ 頂 -ITADAKI- 2015 - YouTube
ペトロールズ - Profile @ 頂2014 - YouTube
【ペトロールズ】表現 Live【高画質】 - YouTube
なんだよ、髭眼鏡ハンサムかよ…
音に関して言葉で代用なんてさらさら出来ないことは承知の上なんですが、それでも言いたいクールさです。醒めてるという意味のクール。過剰な装飾はなく、手触りのようなものを大切にしていてかつ、おそらく現場から積み上げてきたような音。そしてファンキー。
そのことは、子供向け番組用に作られたこの曲を聴いてもよくわかると思います。
はみがきについて歌わせても渋い。こんな渋い歌を「むっしっばっきんっ♪」なんて歌う子ども、憎たらしい。
年季の入った良いデザインをジックリ探し集めるかのようなミニマムで選りすぐりの音色に対して、その上にのる歌詞の世界はけっこうストレート。これまた変形の歌詞カードを読みながら曲を聴いていくと、自然とスルスル歌詞が入ってくる。音と言葉の距離感がちょうどいい。とっても落ち着く。落ち着いているんだけど、冷静なんだけど、わりと熱い。
その熱さのせいで、アルバム『Renaissance』をちょうヘヴィー・ローテーションで聴きまくるに飽き足らず、後日展示最終日に再び代官山蔦屋書店へと足を運び、扱っていた旧譜であるEP(『Idol』『capture 419』『Dice』および長岡亮介氏のソロ作『LOUNGE LOVER』『MIXED MESSAGE』)、さらにAmazonで売っていたプレミアがついてないEP『SIDE BY SIDE』まで買い揃えてしまった。
あの、しばらくペトロールズかっこいいばかり言っていると思いますので、なにぶん新参者で事情もよくわかっていないような状態ですが手加減のほど何卒よろしくお願いします。ちなみにアルバムで一番お気に入りの曲は『On Your Side』です。気持ちがいいね、I'm On Your Sideっつーことで。