Have a Nice Day!(ハバナイ)の新EPの発売に伴う新MVが公開された。
5月11日発売 Have a Nice Day!(ハバナイ) - LOVE SUPREME (MUSIC VIDEO)
ハバナイ浅見氏自ら「感動商法」と揶揄(?)した先日のリキッドルームの興奮は自分の中でとっくに落ち着いていたと思っていたが、なんてことはない、音を聴けば昨日のことのように思い出されてしまう。
本当に言葉にして吐き出せるならむしろそうしたいくらいあらゆる体液がぐっちゃぐちゃに出尽くした夜であったが、新MV『LOVE SUPREME』を聴く限り「いや、まだまだ出るだろう?」と休むことを許されないようだ。そのロマンティックで機能的にダイレクトに感情に訴えかけるトラックとけだるいヴォーカルに、これまた恋愛映画のクライマックスだけ詰め込んだかのような映像が追い打ちをかける。そう、これ!この映像!テンションがずっとクライマックスで、ハバナイの曲を聴いている時はたしかにこんな気分なのだ。全く心当たりのないような感情が溢れてくる。
あの夜、リキッドルームのステージを眺めながら多幸感と酔いに任せて「Happy Mondaysのライブってきっとこんな感じだったんでしょうね」と横にいた敬愛するあるDJと話していた。残念ながらHappy Mondaysのことは存在と音源でしか知らず体験したことはない。耳にする評判から想像する光景がリキッドルームのステージで起きていたものに完全にシンクロした。音源だけではわからない、その場のお客さんが発する熱量を加えてようやく完成するタイプの曲とバンド、それがHappy MondaysへのイメージでHave a Nice Day!を体験し音源を聴いた時の感想だ。
Have a Nice Day!(ハバナイ) 『 blood on the mosh pit』
その曲の完成にステージとフロアの熱狂が必須というところが曲者で、一度その最高のステージを体験してしまうと以後、音源を聴くときに反応するのは心だけではなくフィジカルなものまで含まれてくる。そうすると「これ良いから聴いて!」では済まされないのだ。体験しなければいけない。
体験というのは運が多分に含まれていて、物理的、時間的な諸事情によっては体験することすら叶わない。「あの頃は良かった」と言えるのは当たり前だが、あの頃そこにいて体験出来たものだけの特権になってしまう。
ハバナイのMVに幾つものバージョンが存在するのも、その体験を共有しなければこのバンドと曲の完成形が伝わらないというMVを監督した岩淵弘樹氏の想いのようにすら感じる。そして、繰り広げられるステージの数だけ楽曲群の完成形が積み上げられていくので、いやはや終わりがないミッドナイト・ゾンビだ。
体験した数だけその感動が上乗せされていく。それは、映画館で鑑賞してなんとも感想が言いづらい映画だな、と痛感したドキュメンタリー『DENKI GROOVE THE MOVIE?』でも痛感したことだ。
映画「DENKI GROOVE THE MOVIE ? ―石野卓球とピエール瀧―」予告編
そこにあったのは確かに電気グルーヴを振り返るストーリーなのだが、観ている自分からするとその振り返りの中に多分に自分史が含まれてしまって、感想を共有しようとするとあの日こういう理由であそこにいてと面倒くさい自分語りが混ざってきてしまうし、そういう感想以外話したくない気分にさせられる。
電気グルーヴに関しても私はかなりの後追いにも関わらず、この映画はそういう気持ちを十二分に放出させるものだったので、体験とは恐ろしい。
対談の冒頭で語られる今ではもう伝説のようなイベント、Shin-Juke Vol.2。本当の数多くの興奮を生み出した夜で、私は幸運にもその場に居合わせることが出来た。パーティーなどで酔っぱらいエモいテンションになったとき、未だに「Shin-Juke Vol.2」の名を私も出すことがあるし友人から耳にすることもあるのだが、これはけして昔は良かった的な話ではなく、体験の連続性に対する興奮を伝えたがっているのだと思っている。バンドの成長過程と自身の過ごした時間など本来ほぼ関係ないものにもかかわらず、要所要所に存在する体験があたかも自分の人生まで特別のものと錯覚させる。私は、よかったら一緒に体験してみないか?とあなたをお誘いしたいと思っている。
今ならば、まだ間に合う。
現在進行形どころか、きっとまだまだこれはスタートライン付近で、ハバナイのことはこれから今以上にあらゆる場所でその名前を耳にすることだろう。上手く都合を合わせてその場に居合わせることが出来れば、追体験的にあの夜、リキッドルームのことだって想像することは可能だし、なんなら今後公開されるハバナイ、Nature Danger Gang、おやすみホログラムの3組を追ったドキュメンタリー映画『モッシュピット』が過去の不足分の補充を手助けしてくれるはずだ。Virgin Babylon Recordsからリリースされたベスト盤『Anthem for Living Dead Floor』にはその名の通りアンセムが満載なので、新譜だけでなくこれも必聴だ。
限られた上映で、もちろん私もまだ映画を観たわけではないが、なぜかきっと追体験としては最適なものじゃないかと感じている。
あの思い切って飛び込んでみたリキッドルームのモッシュピットで汗だくになっていたときにふと目に入ったカメラがこれを映していたのであれば、想像以上に暑苦しい映画になっているはずだ。
2015年11月18日、東京恵比寿リキッドルーム。
Have a Nice Day!の浅見北斗がクラウドファンディングで仕掛けた
1.000人規模のフリーパーティ。
そこで起こった巨大なモッシュピット。
その夢と現実がぶつかり合った奇跡の一夜が遂に劇場公開決定!!【タイトル】
モッシュピット【出演】
Have a Nice Day!
NATURE DANGER GANG
おやすみホログラム、他【公開スケジュール】
東京渋谷ユーロスペース 2週間限定レイトショー
2016年5月21日(土)~6月3日(金)連夜21時~
ユーロスペース twitter大阪十三シアターセブン
5日間限定レイトショー
2016年5月28日(土)~6月1日(水)連夜20時30分~
大阪十三シアターセブン twitter名古屋シネマスコーレ1週間限定レイトショー
2016年6月11日(土)~17(金)
名古屋シネマスコーレ twitter他、順次劇場公開あり!
- アーティスト: Have a Nice Day!,world’s end girlfriend
- 出版社/メーカー: Virgin Babylon Records
- 発売日: 2016/05/11
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る