もう、まさにその名の通りなんですが、cheebowさん作のiPhone用アプリ『BPM』がAppStoreに登場していました。
『BPM』はBPMを測るソフトです。
これはありがたい。ありがとうございます!
と、以上で終了してしまうのですが、「BPMを測る?」という人もいらっしゃると思いますので、ボクはどういう状況でコレを使うか、ということをご紹介してみようと思います。
BPMを測る、というのの目的は、自分がDJをやる時にプレイする曲のだいたいのBPMと、その時聴いている曲のBPMがどれくらい近いか/遠いかをチェックする為です。
最近はめっきり使用しなくなっていましたが、昔は持っていた真っ白のPizzicato FiveモデルのG-ShockにBPMのカウント機能がついていて、よくCiscoの試聴機の前で時計を観ながらポチポチとタップしていました。
ボクがDJの練習を始めた頃、一番良くDJの練習に使っていたのはDeep Houseと呼ばれる類いの曲で割りとビートがわかりやすく、Mixの仕方はノンストップでピッチ(テンポ・BPM)をほぼ変えずに繋いでいく方法だったんですが、ピッチをあわせる、という行為にまだ慣れていなかったので、「かけたい曲」と「かけられる曲」に大分ひらきが出てしまってMix出来ない、ということがよくありました。まだ曲のBPMという意識も低かったので、体感でどれくらいか、という勘も全然働きません。
たとえば、曲AのBPMは125、その次にかけようとしている曲BのBPMが100だったとします。
Mix全体のBPMを125くらいにキープしているため、次にかけたい曲BもだいたいBPMを125に調整しなければいけなくなりますが、ボクの持っているテクニクスのターンテーブルのピッチコントローラーは±8(%)までしか調整出来ません。(この辺のことはこのあたりを見ると良いと思います)
曲B(BPM100)をピッチコントローラーでピッチを+8(レーベル名にもなりましたね)にしても、BPMは108、125には到底届きません。ならば、と曲Aを-8に下げていってもBPM115程度までしか下がりません。これでは、2曲を同時に流した時に、本当は2つの曲のビートを、
ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン
としたいところが、
ドン、ドドン、ドドン、ド ドン、ドンドン、ドンドン、ドン ドン、ドン ドン
と、どんどんビートがずれていってしまいます。
ピッチがかなり離れていてもMixしてはいけないとか、する方法が無い、という訳ではありませんが、ボクが練習を始めたばかりの頃は、曲調で選んでターンテーブルに載せたレコードの曲のピッチが合わなさすぎてその曲をかけるのをやめ、別のレコードを探す、というタイムロスで、かかっている曲に次の曲を繋ぐ前にかかっている曲が終わってしまう、ということがよくありました。
なので、自然と買うレコードの選定基準に「好き」だけではなく「ピッチがどれくらいか」ということを意識するようになりました。
(今はほとんどそういうことを考えたりしませんが、昔はちょっと真面目に考えていた時期もあったということですね)
そういう場合、曲を試聴しながらタップしてBPMが測れるというのは2つメリットがあって、ひとつは当然(だいたいの)BPMがわかること。
もうひとつは、曲の頭を見つける練習になることです。
テンポを確認しようにも、曲の構成が複雑でどこが小節の頭なのかわからないことがあったりするので、すぐ頭を見つけられると、文字通り頭出しの時にかかる時間が少なくなって、Mix全体に余裕が出てきます。
最近はPCDJのソフトでBPMも数値化されるし、頭も探すも何も波形でビートの強い部分も見えているので、そんなことを考える必要すらなくなって来ていて、ボク自身も自分でtraktorを使っているので、便利な反面すごく寂しさを感じたり、実際にピッチ合わせが全然出来なくなってしまって驚愕したりしていて、アナログでDJすること、あるいはアナログでDJすることに近い方法をとることにまた興味が戻って来ているのですが、それはさておき、DJを始めてみようと思っている人や始め出してBPMが気になり出した人、曲のテンポをピックアップするのが苦手で練習したい人なんかには、(いやぁ、前置きが長くなりすぎた)この『BPM』はシンプルだけどかなりのキラーツールです。
タップする場所が広いのも画面を見ないでタップ出来て良いし、それ以上でもそれ以下でもない機能の絞り込み具合がとても好きです。
すごおくシンプルなソフトなんですが、使う側としてはこんなにややこしい動機があったりするのが、シンプルなソフトの懐の深さですね。