そのドアを開けたらゾンビがいる

わかっているんだけどねぇ〜☆

『ラ・ラ・ランド』まさかミュージカル映画にトキメク日が来るとはね。

試写会で一足先に『ラ・ラ・ランド』を観てきました。とってもおもしろく、おかげですっかりミュージカル映画にハマってしまったほどなので感想をもってオススメしたいのですが、内容にも触れている感想ですので読み始めにこんなこと言うのもなんですが、映画を観るときに情報を入れたくないタイプの人はご注意ください。

 

La La Landさん(@lalaland)が投稿した写真 -

本作は、あの『セッション』のデミアン・チャゼル監督が、ライアン・ゴズリング&エマ・ストーンを主演に迎えたミュージカル映画です。 

正直、ミュージカルものは苦手な分野で、劇中で歌い出されると「うぅむ、そりゃミュージカルだもんな…」と頭では納得しようとするものの、拭いきれない違和感でストーリーそのものが頭に入りづらくなってしまうひどい偏見があり、どうしても入り込む前に覚めてしまいます。私にとってはそんなジャンルの映画でした。

 

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じゃあこの映画に対する興味は?と言えば、完全にライアン・ゴズリングとエマ・ストーンという大好きな2人の俳優が再びカップルを演じてくれるからで(『ラブ・アゲイン』は傑作だが2人の時間をもっと観たい!)、『セッション』の陰湿さは好みではなかったデミアン・チャゼル監督やミュージカル映画というジャンルに関しては期待をしていないどころか、最高カップルの足を引っ張らないでくれ!というくらい舐めてかかっていました。


「ラ・ラ・ランド」本予告

結論から言うと大傑作で、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの2度めのカップルはよりキュートさを増し、また個々の魅力も存分に発揮、『セッション』で植え付けられたイメージはキレイに払拭され、ラストでは「歌よ!終わらないで!!!」とすら思う始末。まんまとヤラれました。圧巻です。

 

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オープニングのハイウェイでいきなりはじまる歌と踊りにミュージカルの洗礼・手厚い挨拶を受けて映画が始まると、前半部は2人の主人公の設定を説明しながらもザ・ミュージカル!と言わんばかりの歌と踊りで、それを彩る美術が赤!とか青!とか原色をひとつバシッとキメてみせる美しさとあいまって、これはイッツ・ア・スモールワールド的なあれだ、とミュージカルが苦手ながらも超豪華なミュージックビデオを観ているような気分とエマ・ストーンのかわいさでスルスルと進んでいきます。

 

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しかし、いざ2人が惹かれ合い、デートをし、と距離感が狭まっていく中盤では、それまで散々抵抗を感じていたミュージカルパートがぐんぐん心に染み込んできていて、恋が始まったウキウキとか惹かれ合う2人のトキメキみたいなものの表現として、そう!歌おう!そして踊ろう!それだ!と、おそらく初めてミュージカルパートを独立した歌と踊りの良さとしてだけじゃなく、ストーリーの一部、心境や状況の演出として純粋に楽しんじゃっている自分に気づきます。ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの歌と踊りをはじめとした各曲パフォーマンスのクオリティーの高さがハンパない!

 

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エマ・ストーンの魅力はそのかわいさもさることながら、コメディー・センスの高さ、そして縦横無尽の表情筋で、今までの配役ではそれを駆使しすぎでは!?とすら思う活躍をしてきたと思います。特に気性の荒い役をやらせるとその表情筋のマッチョぶりに拍車がかかり、ちょっと近づきたくないくらいの喧嘩腰で、スゴいんだけど遠慮したいと常々感じていました。 本作でも喧嘩シーンは(ラブストーリーだけに)ありますが、あの表情筋を最大限活かしたエキセントリックなものではなくいたって普通な(?)、まるでミュージカルとして普通じゃないことをやりまくっている帳尻を合わせたのかと思うくらいやりすぎないもので、一安心すると同時に、デミアン・チャゼル監督、良いじゃない!そうなんだよ、エマ・ストーンの表情筋はほどほどが良いのをわかってるとは!と握手をしたい気持ちに。

 

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その反面、ストーリーに暗雲が立ち込めるキッカケにもなる(最近の)ジャズ・バンドに関する描写は、好みの問題だしストーリーを転がすための必要悪なのはわかるのですが、ちょっとプリプリしながら観てしまった。ジョン・レジェンド演じる昔のバンド仲間キースのやっているバンドに、自分の店の開店資金のために加入するエピソードで語られるそのキースのバンドは売れ線でポップなR&Bで、おかげでアルバムもバンドもブレイクするにはするのですが、ピアニストとしてのセブ(ライアン・ゴズリング)が本当にやりたい音ではないということを見せるために「ポップなR&B」をそんな悪者みたいに描くなよ!そのバンドで良いプレイ光るプレイをして有名になりなさいよ!と、自分がどの立場で観てるんだ!?みたいな気持ちに(苦笑)。セブの好きなジャズもキースのバンドの音楽も、どっちも好きです。閑話休題。

 

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後半に差し掛かると、2人の仲に暗雲が立ち込め、とってもつらい気持ちに。もうとにかくこのカップルがイチャイチャするところだけをずーっと観ていたいファンとしては、あぁケンカはやめて!!と苦しい気持ちに。ストーリーも終結に向かって2人の関係、それぞれの夢、そして現実をめまぐるしく見せていきます。前半で挨拶的な効果に見え、中盤では恋愛のステキな高まりをかわいく見せていたミュージカルパートは、その心情の深い部分に関わる吐露のような部分に使われるようになっていきます。道に迷って立ち止まったときに改めて自分を照らす光のように。なかでもエマ・ストーンがシンプルに力強くソロで歌い上げる『Audition』は出色で、大げさな素振りは無しで生野菜がそのまま出てきたサラダのようにアップになったエマ・ストーンの表情だけで、画面ではエマ・ストーンの顔を観ているのに歌の歌詞の世界が頭の中で映像になってそれを観ていたと錯覚しまうくらいの説得力。歌の巧さの素晴らしさはもちろんのこと、この存在感はスゴかった。もうこれがミュージカルパートだということをすっかりわすれてしまうほどです。

 

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そして怒涛のラストシーンに突入します。それまで紆余曲折、2人の行く末を追ってきた観客として、まさか!(でもやっぱり〜泣)と息をのみ、あぁこうであって欲しい!と願う理想の世界がミュージカルパートとして繰り広げられる頃には、終わらないで歌!!!と自分から切望する始末。本当に鳴り止まないで欲しい瞬間。これがミュージカルの底力なのか、と…

 

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ライアン・ゴズリングの良さは、往年の「スター俳優」的な存在感、佇まいだな、と今作で強く認識して、それこそハンフリー・ボガードのような、そのキメ顔のいつものショット、それだけくれれば3本は作れます!みたいな半ば冗談じみた味が、他の誰にもない稀有な人だと思っていたのですが、この映画でもパントマイム的なビックリ演技にはじまり歌に踊りに大活躍しながらも心に残るのはあのキメ顔というなかなかありえない存在感を光らせていて、ラストにたまらなく「これがライアン・ゴズリングの正しい使い方だ!」という演技を見せてくれます。まるで高倉健のような、ライアンの表情が最後・・・。中村屋ーッ!とでも叫びたくなるようなそれまでのストーリーを見事に締めたエンディング、これは映画館で観て確認して、ぜひ感想を教えてください。

 

La La Land: Visual Echoes from Glass Distortion on Vimeo.

ちなみに、この動画のような数々のミュージカル映画にオマージュを捧げるような素晴らしい映像には、ミュージカル映画をもっと知っていれば!とあとから地団駄踏んでいますが、同じようにミュージカル映画初心者の方も、もし予習をしたければ、なにより本作のサントラを事前に聴いておくのが個人的にはおすすめです。Apple Musicにもありました。

ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック

ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック

 
ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック(スコア)

ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック(スコア)

 
La La Land (Original Motion Picture Soundtrack)

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  • アーティスト: ヴァリアス・アーティスト
  • 出版社/メーカー: Universal Music LLC
  • 発売日: 2016/12/10
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もちろん、観終えたあとはリピート必須です。 

 

劇場公開がはじまったら、あらためて映画館に行きます(より良い音響で観たい!)。観始める前はまさかこんなことを言いたくなるとは思わなかったけど、ミュージカル映画、サイコー!

 

gaga.ne.jp