そのドアを開けたらゾンビがいる

わかっているんだけどねぇ〜☆

映画『アメリカン・スリープオーバー』:みんなの胸がキュンとするあの時をもう一度

総天然の甘酸っぱさとほろ苦さがこれでもかと味わえるあの最高のティーンエイジ・ムービー『アメリカン・スリープオーバー』がとうとうソフト化に向けて動いています。

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残り21日とわずかになりました。この長らく日本未公開だった本作がGucchi's Free Schoolの尽力により映画館で上映された際にチャンスを逃さず鑑賞できた人たちはおそらくすでにこのプロジェクトの支援をしていると思いますが、この映画をまだ経験していない人たちにももっともっと届いて欲しい。買って損しないと思える作品です。

『アメリカン・スリープオーバー』とは
デトロイト郊外、夏休み最後の週末。少年は一目惚れした女性を探し、
大学生は双子の姉妹の間で揺れ、少女は“楽しいなにか”を追い求める。
毎年恒例の「スリープオーバー」(お泊まり会)を舞台に若者たちの夏を輝かしく描いた青春群像劇。

新感覚ホラー『イット・フォローズ』で世界を震撼させ、大きな話題を集めたデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の長編デビュー作『アメリカン・スリープオーバー』は、心打つ青春の成長ドラマである。
『アメリカン・スリープオーバー』は、本作で長編映画デビューを果たした若く魅力的な新人を出演に、カンヌ国際映画祭の国際批評家週間部門で初上映。それは製作当時の2010年において、直近の5年間のアメリカ映画としては初めてのことだった。

映画『アメリカン・スリープオーバー』オフィシャルサイト

『イット・フォローズ』の監督のデビュー作として掘り返された大傑作青春映画。私の中ではこのジャンルで文句なしのナンバーワン!

中学高校までと街を出ることになる大学進学や就職に進むタイミングは、否が応でもバチーッ!と子供から大人への分岐点として色濃く描かれるのはアメリカのティーンエイジャーならではなのでしょうか。このジャンルにおいて「ある夏の一夜」を描く群像劇は『アメリカン・グラフィティ』から連なるある種の伝統芸能のように受け継がれていくものなんだなぁと実感させられたし、その歴代のラインナップの最新にこの映画が並んでいます。

スクリーンの中では、けっして過激に煽ることなく手の届く範囲でそれでも背伸びして大人ぶるティーンエイジャーの目線がこれでもかと刺さりまくります!振り返ってみると自分の青春時代なんてそれほどドラマチックなことはなかったなぁ、なんて言葉が出てくるタイプのノスタルジーをお持ちの方に「いやいや何を言ってるの!?そこにこそドラマがあったじゃないか!」と優しく巻き戻されるような瞬間でもあります。

心情をドロドロと混ぜたくって描かない、淡々と、でも彼らを尊重しているかのような監督のクールな視点が、不安定な感情のシートを何枚も重ね合わせたパイをつくるかのように独特のグルーヴを生み出していき、これから「その時」を迎えようとしている人には大丈夫だよとそっと寄り添い、埃を被って懐かしみすらされないような青春時代をお持ちの方には肩を叩いて寄り添うような至上の愛を感じさせてくれる。

記憶に残るあらゆるカットのささやかさがたまらず、目のあった瞬間、触れ合うまでのしぼりだされるようなドキドキした胸の鼓動から、恋い焦がれる愛しの人の匂い(日本で言えばそう、ティモテ!)を嗅いでいる図の崇高さはターミネーター登場シーン以来の完璧な片膝つきポーズ!そういった若者たちのすべてが体温計で測りうる限りの温度内で上下しています。どこをとっても意識して辺りを見渡せば目に入ってきそうな光景なのがとっても良い。

エンディングの秀逸さが筆舌に尽し難く、太陽が照らす現実への光もまたそこはかとなく優しさにつつまれています。

これを観てしまうと改めて同監督の『イット・フォローズ』が観たくなります。あぁ、こういう視点だったのかぁ!とうなづきまくりなんです。当事者にとって青春とはときに末恐ろしく身の毛もよだつホラー映画のようであるのよね。

イット・フォローズ(字幕版)

イット・フォローズ(字幕版)

 

 

今回のソフト化プロジェクト以降、Blu-rayやDVDが通常流通したりレンタルになったりするのかどうかは不明ですが、この感想文をついつい最後まで読んでしまうくらいなら今回のプロジェクト支援を通してBlu-ray/DVDを手に入れるべきだし、お泊まり会を開いてポップコーンを頬張りながら本作を観て、そのままノスタルジー大会に突入してほしいしそういうことを私はやりたい。

 

www.americansleepover-jp.com