そのドアを開けたらゾンビがいる

わかっているんだけどねぇ〜☆

イモータン・ジョーが勝つ、その日まで|立川シネマシティLeopard爆音版『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を体験してきた。

マッドマックス 怒りのデス・ロード

近年こんなわかりやすくマニアックな扱いを受けた映画を他に知らない。映画館でn回観た、というのはもう自己ののめり込みレベルをアピールするだけでなく、額と額をくっつけるかわりのちょっとした挨拶にすら感じる。

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先日友人に聞いて以来頭を離れない衝撃的なエピソードがある。

何度も何度も『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の為に映画館に通っている同僚にその面白さを訊いたところ「今度こそイモータン・ジョーが勝つ気がする」と言っていたそうだ。その視点はなかった!と打ちのめされた。

出来上がった映画を何度も何度もスルメのように楽しむことはよくあるが、それまでに気づかなかった視点を得たり、より詳細に脳に焼き付けたりという反復の効果を楽しむものだと自分で決めつけていた。

それが「今度こそイモータン・ジョーが勝つ気がする」という、映画の内容すら変わるかもしれないと感じるくらいのテンションでその世界に没入する楽しみ方、というのは本当に目からうろこで、いかに自分のアタマが固くなっているかを思い知らされる事件だった。

そう考えて『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を観ると、たしかに惜しいシーンはたくさんある。あるいはもっと早く片がついていたかもしれない、マックスはここで死んでいてもおかしくない、そういうシーンがたくさんあるのだ。そして、もしそこで事件が起きるとすると、自分の知らない新しい『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がそこから始まってしまう。これを見逃す訳にはいかない!という使命感に狩られる気持ちがほんの少しだけわかってきた気がする。

アカデミー賞でも活躍した『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、その凱旋と言わんばかりに立川シネマシティが音響設備をアップグレードし、そして性懲りもなくまた『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を上映している。その紹介記事のURLからしてオカシイ。

cinemacity.co.jp

こうなったらとことんやり続けて欲しいし、年1くらいで上映し続けるくらいの気持ちでいて欲しいが、それまでの極上爆音と名付けられたシステムも十分好きだったので、ここまで上乗せで言うからにはやはりスゴいんだろうし、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を持ってきたり引き合いに出すからにはそれ相応の覚悟があるんだろう、とファンとしても乗りかかった船から降りるわけにはいかないのだ。

http://cinemacity.co.jp/wp/wp-content/uploads/mm2ndflyer_bside.pdf

初見からもうすぐ1年近く経とうとしているのにまだこの映画のことを話しているの?と呆れられていても仕方がないし、自分でもまだ言ってんのかと思ってもいるのだが、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を映画館で観ていると、毎回知らないシーンに遭遇する。部屋でソフト化されたモノ*1を観ている時よりも集中度が違うのだろうが、明らかに映画館では知らないシーンがグンと浮き上がって迫ってくる。アタマの何処かが確実にオカシイと自分の記憶力などにかなりの不安を覚える。さらにいつも微妙に違うシーンに感動したり、声が出たりする。それも毎回だ。どうかしている。

しかし、今回はスピーカーのせいにできる。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を複数回楽しむ人ならばどのあたりでボリュームのある音が出てくるかアタリはつけているだろうから、そのパンチのある音を待ち構えることになるのだが、もはや暴力の塊とも言える凶悪なクルマたちがいななく度に、座席が振動でカタカタと音を立てる・音圧を身体で感じる・スクリーンが振動で震えて字幕がブレる、などの特殊効果がより鮮明に上乗せされていた。猛スピードで走るウォー・タンクのエキゾーストノートは車の進行に合わせ、明らかに遠くから自分に近づいたり通り過ぎたり遠ざかったりしている。そしてその音圧・音量にも関わらず、聞き取りづらい箇所や耳に不快な箇所は皆無で、ただただ圧倒され世界に没入できる時間を過ごせるのは相変わらずだ。

前回立川シネマシティで『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を観てからかなり時間が経っていたので音の比較とまでは言えないが、逆に言うと1度(正確には2度)マッドマックスと爆音のセットを経験済みなので*2、そうそうこれこれ、という「知ってる」感にニヤついて劇場を後にするという可能性もあった。

だが、今回も圧倒された。終わった後の感想も、まず「いやぁ、スゴい…」。今回もしっかり私だけに未公開のマル秘知らないシーンがあったし*3、アクションシーンは何度観ても手に汗握る。手に汗握らないアクションシーンのほうが絶対多いのだが、この映画は間違いなくそうなる。ちょっとしたジェットコースターみたいなもので、何回観ようとしっかりと身体に疲労感を残して立ち上がることになる。IMAX 3D版もMX4D版もそれぞれの良さが確かにあったが、座席が動いたり3Dメガネをかけることなく、ここまでしっかり体感できるのは、やはり見事だとしか言いようが無い。そして、それを体験するためだけに、1時間も電車に揺られ、また立川まで行くのだ。

 

残念ながら、今回もイモータン・ジョーは負けた。怒りに燃える復讐の炎にはかなわなかった。あそこで見つからなければ、あそこで命を救えていれば、あそこでトドメを刺せていれば、そもそもマックスが捕まっていなければ、と様々な思いが各陣営によぎることだろうが、その悔しい気持ちは次回にとっておきたい。

いや、悔しいわけではないけれど、1回くらい勝たせてあげたいじゃない。

 

www.netflix.com

*1:私はiTunes Storeで購入した。特典映像も付いている。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

  • ジョージ・ミラー
  • アクション/アドベンチャー
  • ¥2000

*2:マッドマックス以外でも立川シネマシティの爆音上映は割と利用している。会員になった元は取れただろう。

*3:正確に言うならば、知らないというよりは強調されたシーン、という方が正しいのかもしれない。