再上映された映画『ワイルド・スタイル』を観てからジワジワと続いているワイルド・スタイル熱のおかげで、今はiTunes Storeで買ったサントラを聴きながらこの本をちょっとずつ読んでいます。
- 作者: チャーリー・エーハン,Charlie Ahearn,峯岸康隆,伯井真紀
- 出版社/メーカー: PRESSPOP GALLERY
- 発売日: 2008/05/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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個人的にこの映画がオモロかったのは、やはり歴史が生まれる緊張感・ドキドキ感で、生まれたものを振り返って撮っているというより、このなんかヤバそうな空気を撮っていこうぜ!って動き出したら歴史も一緒についてきた、みたいなミラクルがたまらないわけです。
で、映画ではそれが生々しく進んでいくのですが、本の方ではチャーリー・エーハン監督はじめとした関係者たちが当時を振り返ったコメントを踏まえて、『ワイルド・スタイル』撮影プロジェクトチームに何が起こっていたのか?みたいなことを紐解いてくれます。
これが映画を観た人なら(そうじゃなくてもモチロン)たまらなくオモロい。
撮影チームの面々が出会っていく撮影前のエピソードは鳥肌モノの名前が連発してて、特に映画ではヒロイン的な立ち回りをしていたパティ・アスターの経歴ひとつ取っても(ダイレクトに映画には関係ないかもしれないが)「うぉぉ!そんな時代か!!!」と興奮します。
今作に出演後、パートナーのビル・ステリングとイースト・ビレッジに「ファン・ギャラリー」を1981年に創設。今作に出演のファブ・ファイブ・フレディやレディ・ピンク、フューチュラ2000らグラフィティ・アーティストの作品を紹介し、1982年にはジャン=ミシェル・バスキア、1983年にはキース・ヘリングのショーを行っている。
で、前出の『外伝』を読んでいてそんなところも繋がっていたのか!と唸ったのがなんとブロンディ。
撮影前に映画にとって重要な人物でキャストでもあるファブ・ファイブ・フレディー(プロモーター、フェイド役の人です)は自身が出演していた『TV Party』なるケーブルテレビ番組(これ付近も調べたらスゲーオモロそうで震えてる)でブロンディのメンバーと知り合っていて、ブロンクスのパーティーに彼らを連れて行ったらしいんですね。
彼らはそこで、映画にも出てくるグランドマスター・フラッシュやコールド・クラッシュ・ブラザーズといった面々のライブを体験し、それをもとにこんな曲を作って全米ナンバーワンヒットにしちゃいます。このPVがそれです。
曲の中盤でボーカルのデボラ・ハリーが「Fab Five Freddie told me everybody's fly」と名前まで出してラップをはじめます。その時一緒に映っているのはグランドマスター・フラッシュのかわりにDJ役にアサインされたバスキア(棒立ちでニコニコしてるのがカワイイ)、さらにその先でグラフィティーを描いているのは映画の主人公レイモンド役のリー・ジョージ・キュノネスとファブ・ファイブ・フレディー!
撮影現場にはチャーリー・エーハン監督もいたようで『外伝』の中にはその時撮影したであろう写真も納められています(P.60〜参照)。しかもこの曲、しっかり劇中にも使われていたみたい(マンハッタンの高級アパートでのパーティーシーン)。
バンドが曲中にラップするって当時相当珍しいことでしょう、この曲のリリースが1981年(『ワイルド・スタイル』は82年の話)。1年前にもうこういう異なるジャンルの出会い・化学反応、コラボみたいなことが起きていたんですね。スゲー!
『Wild Style』には新聞記者ヴァージニアという登場人物が出て来ますが、監督の思い描いていたのは、この曲のおかげでヒップホップ界隈で女神と崇められたブロンディのデボラ・ハリー。言われてみればブロンドってだけじゃなく、なんとなく雰囲気も似てます。 そのパティ・アスターものちに、自身のギャラリーでバスキアの展示をしたりと、なんていうんでしょう、この熱循環。時代の必然といえばそうなのでしょうが、こういうのホントカッコイイよ!!!
『チャーリー・エーハンのワイルド・スタイル外伝』はこんなドキドキ満載っす。スゲーオモロい!!!