前回からの続きになりますが、「Japanese Footwork」という言葉は実は沢山の意味を含んでいるようです。
あくまで入り口程度に捉えていただいて、より専門的な事はネット上にある有識者の言葉を探してもらいたいのですが、私の拙い知識の中では、シカゴハウスからいろいろあってJukeと呼ばれる音楽がうまれ、さらにフロアのダンサー(シカゴフットワークダンサー)にあわせた「Footwork」というよりダンサーオリエンテッドな音に進化(特化)したものが登場し、両者は切っても切れない、同じくらい大切なものとして、音とダンスがしっかりと共存している。
DJやトラックメイカーはFootworkダンサーを刺激するトラックをつくりそして繋ぎ、Footworkダンサーはそれに応えさらにフィードバックを音に向けて動きで返す。
こう言葉で書くとなんのこっちゃ、という気持ちに私自身なるのですが、思い出して欲しいのは映画『WILD STYLE』。
この映画の歴史的価値みたいなものの大きな一つに、DJ/ラップ/ブレイクダンス/グラフィティアートを一括りに「ヒップホップカルチャー」として紹介して結果定着させた、というとても強大な影響があげられます。はじめは音とダンスやアートがそこまで密接に意識的に結びついてはいなかったというのも、今となっては驚きです。撮影開始時なんてまだ「HIP HOP」という言葉すら生まれる前!たまたまその時期、そのエリアにいた/あったヤバいヤツらをまとめて紹介しちゃえ!という最終判断にいたったのは、おそらく同じくらいの熱量でひかれあうものだったんだろう、と勝手に想像します。監督が発見した時の(初期の)ブレイクダンスはジェームズ・ブラウンの『ソウル・パワー』をバックに踊っていたといいますし。
私これ大好きで、なにが好きって、そこに確実に文化がうまれ、音楽やダンスやアートを並列に並べた上でみんなでヒートアップしていくあの熱量。
当時は映画でしか観れなかったあの世界がのちに与えた影響は世界でも、もちろん日本でも明確なのは、先だっての映画のロングランにおよばず大きな存在。ミーハーな私はポスター2種類も飾っちゃってる。閑話休題。
この、ジャンル・カテゴリーを問わず熱をかき集めてひとつにして爆発させる動きが、実は今も確実に身近で起こっていて、音のジャンルを飛び越えたり、ダンスのスタイルだったり、国境を超えた交流だったりというのは、日本のJuke/Footworkを少しでもかじった方ならわかっていただけるはず。
私はダンサーではないですが、元がマイケル・ジャクソンの大ファンという出自からおのずとダンスというものを無視は出来ず、ちゃんとしたレッスンをうけた訳でもそれだけに打ち込んだわけでもないけれど、子供の頃にビデオを何回も巻き戻してMJの動きの一部でも出来たら!と練習していたこともあり、カッコ良いダンサーは観たらわかる!みたいな変な自負がありました。でも、それはたとえば踊りに行くクラブとかではなく、アーティストのPVでカッコ良く踊る群舞だったりといった、非日常の世界で、個人的にダンスにそこまで近づいたこともありませんでした。
さて、ここでようやく本題、Battle Train Tokyo 2nd Anniversary -Footwork Championship Battle Tournament-。
これは恵比寿リキッドルーム併設のKATAというスペースでFootworkダンサーの方々が主体となったイベントの年に一度のバトルトーナメント。
普段はみんなで切磋琢磨して技を競い合ったり、初心者のみんなにわかりやすくFootworkの入り口を教えてくれたりという、パーティーというよりはワークショップに近いイベント。
もちろん日本のJuke/FootworkのトップクラスのDJたちがDJブースにいて音を担当するので、踊らずとも捗るイベントで、これがガッチリの草の根的に日本のFootworkダンサーを増やしていると思います。
私は大きな大会しかお邪魔したことがないので語る口は持たない事を承知の上で書いていますが、今回あらためてトーナメントを観ていて、現場はスゴいことになっていたと感じた。
TAKUYAさん、Weezyさんといった日本Footwork創世記(と言っていいのでしょうか?勝手にそう思っています。特に2012年の動画で私はTAKUYAさんのファンになりました)を作り上げた人たち。
さらに次の世代として容赦なく突き上げる人たち、彼らはともにKATAでスキルを磨きあっている仲のようで、バトルといえど変に険悪な空気ではない。
でも、誰か一人しか残れないのがトーナメント。その厳しさは今までの大会でも目の当たりにしていますが、今回も司会、ナビゲートしてくれるD.J.Aprilさん、PAISLEY PARKSのKentさんのさりげない言葉の節々に感じます。
誰でも参加できるオープン・トーナメントですが、ここへ至る道はみんなそれぞれありそうな、フレンドリーなんだけど気軽に声をかけられないそんなヒリヒリした空気。
このダンスがどうだったかを表現する言葉を私は当然ながら持ち合わせてない。だって「Footworkってどんな音?」って聴かれたらそれだってまともに答えることは出来ない。
ただ、トーナメントに挑むFootworkダンサー、見守りそして歓声を上げる人たちと一緒に時間を過ごしていて、これがFootworkという空間なんだろうな、という興奮はしっかりと残ってくるし、映画『Shall We Dance』よろしく、しばらく机の下の脚が例のステップを踏みそうになるのをおさえるのは難しい。
出来ることならみんなで一度汗かいてもいい格好をして見よう見まねでやってみましょうよ!なんて言いたくもなっちゃいます。それくらい有無を言わぬカッコ良さがBattle Train Tokyo 2nd Anniversary -Footwork Championship Battle Tournament-にはありました。
KFC SHOW CASE #Footwork #シカゴフットワーク
優勝したYAMATOさん、連覇おめでとうございます!
そして、参加したFootworkダンサーのみなさん、DJのみなさんやGuest JudgeのBoodillaさん(FootworKINGz, Creation global)にGuest DJが恐ろしくカッコ良かったDJ Noir & DJ J Drago from Juke Bounce Werkのお二人、なによりいっしょにあの空間を体験した皆さん、欲を言うとまだこれを経験していない方々とこの気持ちを共有できれば幸いです。