エレクトロニカの傑作、Domoticの『Bye Bye』をリリースし、馴染みのあるところではShugo Tokumaru(トクマルシューゴ)のアルバムもリリースしているフランスのレーベル「Active Suspension」。
現在はレーベルが存続しているのかどうかもわからず、オフィシャルサイトはドメインが失効している様子。
http://www.activesuspension.org/
BlogやMySpaceはまだ存在しているので、微妙なところですが、そのActive SuspensionのCDでリリースされた18タイトルのうちの15タイトルが、なんとiTunes StoreとAmazonでダウンロード販売というかたちで販売を継続していました。素晴らしい!
AmazonのMP3ダウンロードとiTunes Storeでの取り扱い内容(価格と収録曲)が若干違うものもあるので購入には注意が必要ですが、一覧として観やすいのはAmazonです。
Amazon.co.jp: active suspension - MP3 アルバム: MP3ダウンロード
AmazonでもiTunes Storeでも、すべて(曲の一部ですが)試聴できるのが嬉しいですね。アルバム1枚通して試聴とかしてると、そのまま聴いてしまう。
欠けているタイトルはレーベル第1作目のコンピ『Variable Access』(ACD01)とおそらく欠番らしい3枚目(ACD03)のみで、それ以外の全タイトルがせっかくあるので、リリース順に並べてみました。
iTunes Store、Amazonそれぞれのアルバムページで是非試聴してみてください。きっとお気に入りの1枚が見つかると思います。
ACD02:Domotic『Bye Bye』
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レーベル2枚目、初のアーティスト・アルバムにして、至高の傑作。ジャケットのイメージを思い浮かべながら眠りについた夢のような楽曲がズラリと並ぶ。なかでも「Isometric unit construction」の夢見心地感ったら雲の上で音符にぶら下がっているようだ。トイトロニカ・フォークトロニカに出発点はここにあった、と言っちゃって良いよね?いや言っちゃう。
ACD04:O. Lamm『Snow Party』
これまたジャケットのイメージが目に焼き付きながら聞こえてくる、ネジ巻き式オモチャポップ。耳の中をカリカリと音を立ててブリキのオモチャがコソコソと遊びまわる感じの加減が良いです。タイトル曲「Snow Party」の幻想的なサウンドスケープが心地良い。
ACD05:Hypo『Karaoke A Capella』
こんなアルバム・タイトルとジャケットですが、蓋を開ければ歯医者系チリチリ針飛びポップ。たまにヴォーカルがカットアップで入っていたり、心地のよい上モノのトラックがあったり、ある意味イイトコどり。間違ってもこんなカラオケないし、やらないでいただきたい。
ACD06:V.A.『Active Suspension Vs. Clapping Music』
レーベル2枚目にして、Clapping Musicというフランスのレーベルとのコラボ企画。エレクトロニカ〜トイ〜フォーク〜ノイズとActive Suspensionの魅力どころはほぼ揃っているので、アーティストを一人に決めきれないおちゃめな困ったちゃんにはオススメできるコンピ。なかでも1番の異色はフランスの個性派HIP HOPユニット「TTC」とDomoticのコラボ曲が収録されていること。
ACD07:O. Lamm『My Favorite Things』
ACD04『Snow Party』のRemixアルバム。いろいろなメンツを集めているだけに、音の感じもわりとバラけているが、この辺界隈のコンピと考えるとバランスがいい。ERICH ZAHNがRemixした「Mn’Li (woaini remix)」のオールドスクールマナーなエディット具合が出色の出来。なお、これだけAmazonではダウンロード販売がありません。
ACD08:Davide Balula『Pellicule』
花粉症の季節にぴったりの鼻詰まりノイジーフォーク。「暗い」とも違う独特のムードを漂わせ、「重い」でもない纏わり付くような温かい空気感を聞かせる。Domotic以来の才能と言われたらしいが、わりと納得出来る、かなりクセになる佳作。細野晴臣のデイジーワールドのコンピにも参加してます。
ACD09:Hypo『Random Veneziano』
早回しにしたディズニーランドみたいな賑やかなアルバム。Active Suspensionの音の中ではマッシブな部類に入るかも。結構ダークな感じやインダストリアルっぽい感じもあります。と、言ってもモグラたたきのハンマーみたいな感じです。これを聴きながらワニワニパニックやったら良い点数出そう。
ACD10:The Konki Duet『Il fait tout gris』
フランス人と日本人のオンナノコ3人組ユニット(Duetゆうてんのに)。なので、フランス語、英語だけじゃなく、たまに日本語の歌も出てきます。自分たちのジャンルを「ネオ・チェンバー・プログレ」と称しているらしいですが、ボクにはなんのこっちゃワカリマセン。フォーキーな雰囲気メインにそよぐような歌声がのっかって来る感じはCocoRosieを連想させます。「Do!Family」のコーラスのところ、カワイイ。ダラー♪
ACD11:O. Lamm『Hello spiral』
Olivier LammのActive Suspensionからのオリジナルアルバム2枚目はエレクトロ・ポップ〜アバンギャルドな路線。アシッドなベースラインも耳に出来る「Street Cred」のエレクトロニカ・ミーツ・アシッドはグッと来る。もともとのポップセンスの良さみたいなものは「Where Are You My Hero?(Reprise)」なんかにも滲み出る。突然出てくる日本語にはちょっと吹く。あと、この人の低音の使い方、結構好きです。
ACD12:Domotic『Ask For Tiger』
1stの持っていたドリーミーな感じから、良くも悪くもレーベルカラーに近寄ったアルバム。夢からさめて寝言を言っている感じ。でも、まだ上の空なので心地良さは残る。アルバムタイトルに「Tiger」が付いているものの中ではベルセバにつぐホンワカ・タイガーではなかろうか。
ACD13:Hypo&Edh『The Corect Use Of Pets』
Active Suspensionのエレクトロニック・ボディー・ミュージック番長Hypoが前作でも3曲コラボした女性SSWのEmmanuelle De Hericourtとよほどウマがあったのか、コラボしてアルバム1枚作っちゃった。たしかにHypoの作るトラックとEdhの声の質はとてもあってる。ちょっと硬めの暖かくて大きなクッションみたい。The Cureの「Lament」のカバー収録。
ACD14:Shugo Tokumaru『L.s.t.』
Davide Balulaがいることを考えると、トクマルシューゴがActive Suspensionからリリースするのも分かる気がする。ボクは割と最近のトクマルシューゴの作品はあまり得意ではないのですが、それはこの手の音楽に作り手の顔と音を出す様を目の当たりにしたくない、というのがどこかにあって、不思議な音とその奥にいるちょっとかわった謎めいた人物、って感じの距離感なShugo Tokumaruのこのアルバムは抵抗なく聴ける。「トクマルシューゴ」と「Shugo Tokumaru」では大違いなのだ。
ACD15:O. Lamm『Monolith』
この人もほんと幅広い音を出します、O. LammのActive Suspensionからのオリジナルアルバム3枚目はとうとうブレイク・ビーツにも手を出しています。共演陣もユニークで、TARPOPコンピにも参加してたLullatoneのYoshimi Tomidaをはじめ、レーベルメイトでもあるThe Konki DuetのKumiなど自らの音に彩りを添えるような声を選んでいる。バランス感覚の良さは相変わらず。日本のアイドルグループをサンプリングしたりしています。
ACD16:The Konki Duet『Mountain Mouton』
3人組なのにDuet!なThe Konki DuetのActive Suspension2枚目。彼女らに限らず、このレーベルからのリリースは、大きくバランスを崩すこと無く、マイペースな活動をしている感じがします。Queens Of Stone Ageのカバーなんかもやってて、比重としては「フォーク>トロニカ」な感じです。ジャケットのデザインと音はあまり結びつかない。
ACD17:Pokett『The Peak』
DomoticやDavide BalulaなどのバックアップをしているStephane Garryの2ndアルバム。ここまで行っちゃうとBeach BoysやNick Drake、Donovan(バラバラか)みないな人たちと並べて聴きたいソフト・ロック・アルバム。バンドサウンドでメンバーにはDomoticやThe Konki DuetのKumiなどが参加。ただただ心地良い。Active Suspensionのアコースティック・サイドの魅力が音・メンバー共に集結した。
ACD18:Kumisolo『My Love For You Is A Cheap Pop Song』
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Kumisolo、クミソロ、クミのソロ。そうです、The Konki DuetのKumi Okamotoがソロデビューしちゃった。プロデュースにはおなじみActive Suspensionの仲間たちが集結(ココの人ら、ほんと仲イイね!)。ピコピコ・テクノ・ポップな仕上がりは嶺川貴子、カヒミからHALCALI、相対性理論まで拾い集めてまぜこぜにしてしまった。
カタログ通してチェックしていくと、なんともアットホーム感あふれるレーベル、Active Suspension。耳カユ・エレクトロニカからソフト・ロック、ガールズ・テクノ・ポップまでなんでもやります。
マイペースのままで良いから、たまには最新情報を届けてください。