レコード好きな人たちの間ではかなり話題になっている、というか今年最大の衝撃ニュースかもしれない。
Cisco Recordsのリアルな店舗がすべて閉店になるそうです。
初め知ったときは言葉にならなかったので言葉にしなかったのですが、やっぱりこれは何でもいいから言葉にしておきたい、と思ってキーボードに向かっています。
世間ではCDが売れない、とよく言われているようで、僕はそんなことはなく今日もMellow Yellowの『大全集』という恐ろしく傑作なアルバムを買ってきました。
それでも、やっぱりCDはあまり売れていないらしく、それを僕はHMVの連発するトリプルポイントセールから感じていました。もちろん、買う側にとっては、ポイント3倍とかはすごくうれしい。それに関してはありがとう。
CDが売れない、なんて言ったらアナログはどうなるんだろう。というのが今回の結果にどれくらい影響を与えたのかはわからない。確かに僕の周りだけで見ても、アナログを買うのはよほどの音楽好きだったり、趣味や職業としてDJをやっている人たちだけで、そうでない人たちの口から「やっぱ、Burial MixはアナログもCDも全部買っちゃうよね」なんて台詞を聞いたことがない。正確に言うと、自分の口以外から聞いたことがない。
でも、そんな限られたニーズを求めて集まる場所であるCISCOは(僕がよく行ったのはテクノ店とHouse pt2だけど)そこにいる人たちとは、他人だからそんなにしょっちゅう会話なんてしないけど、でも雰囲気として「お前ら、ほんとに好きだよなー」という見えない連帯感みたいなのがあったんじゃないかな、と思っている。本が好きな人が神保町に集まるように、アナログが好きな人が集まる場所だったとおもうので、やっぱりそこで交わされる話は濃かったと思うし、出会う人も濃かっただろうし、POPの文章も濃かった。一時期友人たちとの間で「激マスト!!!」という台詞が冗談みたいにはやったり、やっぱり影響力があったと思う。
昔、渋谷のCISCOにアナログを見に行こうと、むげん堂(だったか、あのアサラトも売ってるお店)があるところから道入って歩いてたら、前から横田進さんが歩いてきた。「1998」というアルバムが死ぬほど好きだったから、思わず声をかけたら、新しく始めようとしているパーティーのフライヤーを置きに行った帰りだ、とそのフライヤーをくれた。skintoneの1番を出した頃のパーティーのフライヤーだった。恵比寿でやっていたそのパーティーは全部行った。その恵比寿の箱は確か今はもうつぶれてしまったと思うが、そこでバイト(?)していた女の子が後にCISCOで働いていたりした。
大学のときの友達もかつてCISCOで働いていて、彼にエレクトロニカへの入り口を開いてもらった。それがなかったら、僕はエレクトロニカを聴かなかったかもしれないし、パーティーでまわしたりもしなかったかもしれない。ちょくちょく通って、そのときのオモロい音を聴かせてもらえたおかげでいろいろ知ることができた。雑誌や自分の試聴のセレクトでは手にしなかっただろう音もそこでは知ることができた。audio.nlなんかその代表だと思ってる。
っていうようなね、思い出話をしても決まったことは決まったことで、じゃあ最近いつアナログ買った?どこで買った?って考えると、ネット通販で半年以上前だったりする。決定したことにどうこう言える立場ではないのだ。そんなグチグチしたこと言うんならもっとあしげく通ってアナログを買いなさい、と自分に言いたい。
でも、リアル店舗のCISCOはやっぱり特別だったですよ。今までありがとうございました。あのビニールに入ったアナログを持って帰る道のりはとてもわくわくしたよ。ありがとう。さようなら。今後はオンラインで宜しくお願いします。