そのドアを開けたらゾンビがいる

わかっているんだけどねぇ〜☆

映画『バタリアン』から学ぶ愛情

B 誰でも、一般的にはどうかは別として、個人的名作と思う映画は何本かあると思います。

人生のトップ10に入れるか?と言われれば、たぶん入れないんですが、確実にベンチに控えて欲しいレベルの作品のひとつに『バタリアン』があります。

この先はネタばれしてもいい、という方以外は一応読まないほうが良いですね。

バタリアン・テレビスポット

基本のストーリーを知らないけど簡単に知りたい、という人はWikipediaのバタリアン を観ていただくとして、子供の頃この映画を観て、まずビビッたのはエンディングです。

いわゆるスプラッターとかホラー映画はなかなか子供にとっては観る事ができませんが、この映画は例の「オバタリアン」のブームのおかげか、当時ゴールデン洋画劇場かなんかでやったと思うんですよ。

いわゆるジェイソンやフレディーでさえ、エンディングではそれ相応に処理されて、一応ハッピーエンド的な方向で終わる、という映画が常識だった子供心に、このバタリアンのエンディングの「問題の起こった町ごと核爆弾で爆破させてなかったことにする」というエンディングは、もうびっくりを通り越してあんぐりです。その後、雨が降って悲劇はまた繰り返される、という暗示はありますが、それまでストーリーの中心になっていた人たち誰一人幸せにはならない。町の人全部死んでしまいます。子供心に正義は勝つの逆パターンを目の当たりにして、とてもびっくりしました。

もうひとつ、この映画で本当に感動してしまったシーンがあります。それは一番初めにゾンビの入っていた缶を叩いてガスを漏れさせてしまったおじさん(フランク)が、自分の意識がなくなって完全にゾンビになる前に自ら命を絶とうと焼却炉に入っていくシーン。

こういう自己犠牲シーンはほかの映画でもいろいろとあるとは思うんですが、この映画では焼却炉に入る直前、フランクは自分の結婚指輪をはずし、それにキスをしてから焼却炉のレバー(なんか台を中に入れるスイッチみたいなもの)に引っ掛けて、その後焼却炉に入っていくんです。これがびっくりした。

それまで、フランクの家庭とか奥さんのこととかそんなになかったはずなんですが、このシーンで一気にフランクの家庭みたいなものとか家族への愛情みたいなものが一瞬でドーン!って来ました。たぶん、小学生くらいのガキンチョでしたが、すごく感動したのを覚えています。これ、バタリアンですか、ええ、バタリアンですよ。でも、このシーンだけは別格。

友人にバタリアンを勧めるときは、敢えてこのことを言わずに貸したりしてますが、同じシーンが良かった、という人には今まで一度も出会ったことがありません。

バタリアン バタリアン

監督: ダン・オバノン

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