今年の備忘録として、鑑賞時の感想メモとともに並べてみました。
今年は続編モノが良くも悪くも多く、その中でも良い悪いがけっこう出ていた気がしていて、特に良いものはナイス底力!って感じが頼もしかったですし、そんなシリーズものに負けず劣らずまっさらな新作には、よくぞこのシリーズ包囲網の中うまれ出てくれた!と何度も観たくなるものが多くて嬉しい年でした。
- マッドマックス 怒りのデス・ロード
- Mommy
- アントマン
- シェフ 三ツ星フードトラック始めました
- 岸辺の旅
- スター・ウォーズ / フォースの覚醒
- ミッション:インポッシブル ローグ・ネーション
- ジョン・ウィック
- 海街Diary
- ナイトクローラー
1.マッドマックス 怒りのデス・ロード
スゴい!硬い!痛い!
力み過ぎで2時間ジェットコースターに縛り付けられた上に耳元で鉄をガンガン叩かれたようなヒドい疲労感がダメージとして残るし、『プライベート・ライアン』の冒頭の戦闘シーンの迫力と緊張感を2時間見せつけられるように視聴覚を責め続けられるし、魅力をミニマルに突き詰めて行った結果マックスが豚のような振る舞いでベイブ愛まで盛り込んでるし、シャーリーズ・セロンは姐さんという冠がついたし、ズッコケ含めてニュークスちょうカワイイし、最高のアトラクションだった。疲れました。
IMAX3D、極爆x2、MX4Dの4回観て、iTunes Storeでソフト買ってアートブックやコミック、Tシャツなども買った。ヤラれたね。
2.Mommy
圧倒された。
ちょっとでも気を抜いた時に不幸なことが起きるんじゃないかと、終始モノ凄いプレッシャーを感じながらビクビクしながら観ていた。
中心人物が2人から3人に変わったことも、緊張感のバランスが変わったことで余計にヒヤヒヤしたし、ラスト直前のモンタージュの(アスペクト比の変化も伴った)脱力にも似た解放感もハンパない。
ロングボードに『WonderWall』のあのシーンは完全にクラシック。2回目を映画館で観て不思議に思ったのは、1回目とほとんど感想が変わらないこと。1対1の集中力の効果なのだろうか。オープニングの事故シーン、初めに映ったのがカイラだったのは見逃していた。
それにしてもスザンヌ・クレマンの良さ。今後もドラン作品に出続けて、色んな役柄をやって欲しい。
結局3回観に行って、LPサイズアートワークのBlu-ray & DVD Setもプレゼントしてもらうくらいワーワー言っとりました。
3.アントマン
全く非の打ち所がないマーベル至上最高傑作で、今年一が初めてマッドマックスに違いない世界が緩いだ…。
どれだけすごかったかというと、子供の頃『バック・トゥー・ザ・フューチャー2』を映画館で観終わった時に死にそうなほど悶えて「今3みたい!!!!」って思った時のココロの震えを何十年かぶりに思い出したくらいです。
マーベルの底力というよりも、日本においてはビデオスルー当たり前のアメリカン・コメディ作家&俳優が普段どれくらいジャンルムービーとして完成度の高い映画を作ってて、その手練れがスーパーヒーロームービーを撮った時、どんだけスゴイかを証明したという点で『アントマン』はエポックメーキングな映画。
もちろん『マッドマックス』のような10年に一度の奇跡みたいな映画と比べること自体おかしくて、というのは、自覚した上での“偉大なる2番打者”として歴史に残る作品な『アントマン』と、歴史に残るスラッガーの打点や打率を比較するのはその役割を理解すれば明白で、『アントマン』はそういう意味の最高の二番打者。それをペイトン・リードとポール・ラッドは意識的にやったと思ってる。オレたちは所詮“蟻マン”だぜ!?という含み笑いで。
その設定、進行の突っ込みどころもちゃんと残した上で、それでもグウの音も出なかった「子供の頃に観たBTTF」クラスの映画なんて最後にいつ観たか覚えてない。
子供でもちゃんとわかるストーリー、大人でも目頭が熱くなる人間関係。しかも余計な説明は片っ端からカットしまくり。 それが主人公のバックボーンだとしても、くどくなる話は容赦なくカット。コメディセンスなリズム感を優先して、集中させすぎないように休ませる演出で和ませた次の瞬間クライマックスがくるような緩急のつけ方は今まで観たアメコミ映画の中でも文句無しでトップ。
観終わった後にココロが震えてて動揺したのは、ポール・ラッド&ペイトン・リードのコンビに贔屓目だったとしてもあり得ない充実感&脱力感。
出来れば、上映館は少ないけれど絶対に3Dで観るべき作品だし、「言っても蟻のサイズに小さくなるだけでしょう?」といううがった見方をぶっ飛ばす、初めて『スパイダーマン』を観た時のぶっ飛び具合を改めて感じられる最高の映画なので、予習とかしないでいいから観て欲しい。あとファルコンズルい。
信じられないかもしれないけれど、私の中では傑作ティム・バートン版『バットマン』シリーズよりも、『ダークナイト』よりも『スパイダーマン』よりも『アントマン』が文句無しで1番。
それまでのペイトン・リード監督の作品は予習がてら全部観た上で『アントマン』に感しては不安しかなかったし、そういう事を思ってすいません!と思ったけれど、エドガー・ライトが考えたベースをリスペクトした上でアメリカン・コメディ・マナーで等身大の体温を染み込ませた監督&ラッドは最高すぎ。 マイケル・ダグラスやエヴァンジェン・リリーは期待通りの活躍だけど、それに輪をかけて脇役(友達役)マイケル・ペーニャ(の口パク)が完璧すぎたし、唯一文句をつけるなら、オレのボビー・カナヴェイルはもっと嫌な感じ出せるのに!!!
もちろんマーベルについて、アメコミ映画について、さらにはアメリカン・コメディ映画について知ってればなおさら最高なんだけど、私が最高だと思ったポイントは「これ!子供の時に!観たい!!!」って思ったこと。 観終わった後に暫く立てない映画を年に2回も観れるなんて今年はなんなんだ!?
さらにVOD版が先行リリースなのでもう家で2回くらい観た。
4.シェフ 三ツ星フードトラック始めました
こういう心技体揃ったコメディ映画をもっともっともっと観たい!
シリーズものなどの続編やスピンオフなんかじゃない、まっさらの新作でしかもコメディだと日本ではなかなか映画館でかかることも減りましたが、映画館で思わず吹き出すシーンに観ていた人たちがみんなで思わず吹き出してしまった光景とか含めて本当にホッコリしました。
グチグチ言わせたら天下一品のジョン・ファブローがまた観れたのも嬉しかったし、我らがラテン系の星ジョン・レグイザモ様がなんとも心憎い脇役というかサイドキックというかを演じていて、役柄もその演技もここ数年の彼のベストなんじゃないかと思います。ジョン・レグイザモを前にはそりゃボビー・カナヴェイルもおとなしく三番手に収まるよなぁ。
ゴハンが本当に美味しそうな映画なので、観る前に空腹には注意です。
5.岸辺の旅
公開に先立って、連続して黒沢清監督作を観ていて感じていたのは、この人は何を言うにも全部同じ表情してるのではないだろうか?という半ば狂気じみた感覚で、めちゃくちゃな事が起こったり全く意味不明な出来事があったりする事自体をそのままとして受け入れる態勢がこちらにも出来ていたので、アタマを空っぽに、ただ受け入れるがまま、というスタンスで楽しめた。
浅野忠信さん扮する役がいきなり自分は死んでる(幽霊)とカミングアウトしようが、成仏への旅みたいなのが始まろうが、オッケーという感じ。絵本を読んでもらって、これから鬼を退治に行きます!と言われて「なんで?」なんて思わなかった感覚なのかな、と思ったりもしていて、監督作をスゴく映画っぽいと感じているのも変な話だけれどもそういうところだと思っている。うまく言えませんが。
その中でも今回はなぜか「声」にとても意識が向いて、深津絵里さんの声は本当に映えるしかわいいなぁ、とか、浅野忠信さんのザクザクしたディストーションをかけたような声は案外心地よいものだなぁとか考えた。
映ってる時間こそ短いが蒼井優さんの怪演も良かった。
銃声は聴こえなかったが、滝の音がそのかわりのようだった。
ステキとスゴイの中間の言葉があれば、それが感想になります。
6.スター・ウォーズ / フォースの覚醒
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大変なことになった・・・。
7.ミッション:インポッシブル ローグ・ネーション
シリーズ最高傑作が来たなぁ!
当然主役のトム・クルーズが一番目立つのは当たり前なんだけど、それまでのシリーズや他の映画と比べると、共演者のキャラや役割がしっかりしてた。
トム・クルーズは(自分の映画の中では)もはや太陽くらいの存在なので、そこにフォーカスするよりもまわりをたたせて自分の存在感が増す北風と太陽方式をドンドン取り入れて欲しい。
映画観終わった第一声は「ベンジーかわいい!」だったし、順調にいけば少なくともポスト・ミラ・ジョヴォヴィッチくらいにはいけそうなレベッカ・ファーガソンとても良かったし、ジェレミー・レナーはGPで目立ったから抑え目なのかも知れないけどCIA長官とのやりとりはこのままいけばフューリー長官くらいの良い場所にハマりそうだし(たまにアクションキメるくらいで充分)、ヴィング・レイムズがちょっとベンジーと被ってきたのが難しいところ。アレック・ボールドウィンはあんな良い役だと思わなかったから棚ボタ。
ベストシーンは爆破の直後間を置かずにベンジーの車が視界に入ってきたシーン。あそこ最高!
8.ジョン・ウィック
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素晴らしい!!!
無駄を削ぎ落としまくったストーリーで変な色気を全く出さず、ただ黙々と脇目も振らずにハードボイルドガンアクション映画を追求するこのストイックさに惜しみない拍手を送りたい!!!
ブロンソンやマックィーンのアクション映画を彷彿とさせるハードボイルドの系譜に1ページが追加された、そんなワクワクする気持ちにさせてくれました。
9.海街Diary
じんわりくる。
広瀬すずの輝きみたいなものも、綾瀬はるかの安定感も、長澤まさみの色っぽさも、夏帆のほんわか感も、全部良い雰囲気で包まれてて、それこそ花火だったり梅酒作りだったり、今では離れてしまった懐かしい家族行事のような空気感だなぁ。
兄弟姉妹がいればなおさらグッと来るものがあります。 ステキな映画じゃないか。
10.ナイトクローラー
なんだよ、意識の高い、ビジネスマインドにあふれた人の出世話じゃないですか。
それにしてもギレンホール。あの顔、なんであんな表情になるんだろう。笑ってる顔、怖すぎる。
撮影監督にロバート・エルスウィットがいるからかギレンホールが徘徊する夜の質感は最高で、夜から滲み出てくるようや存在の異様さ。
ジワジワと反芻して楽しめる映画だったし、また観てしまうなぁ。
アイロンのシーンもありました。
この中でご家庭で冬休みどれか3本観てください!とオススメするなら、Mommy、アントマン、海街Diaryです。
それではみなさま、良いお年を。