そのドアを開けたらゾンビがいる

わかっているんだけどねぇ〜☆

『HACHI 約束の犬』がスゴい件

あらかじめ断っておきますが、ボクはまだ「HACHI 約束の犬」を観ていませんし、あまり前情報も集めていません。

 

HACHI 約束の犬

※youtubeより。RSSリーダーでは表示出来ないことがあります。

 

しかし、まわりの人から聞こえて来る声は、「リチャード・ギアの『ハァチィィ~』の奇妙な発音について」とか、「ストーリーを知ってるから観る気がしないなぁ」というものです。

ボクはこのような意見に大きく異を唱えたい。

 

なぜ、そんな事を思うのか?

 

この「HACHI 約束の犬」は、ただの日本の大ヒット感動動物映画をコストを抑えながらローカライズして真ん中に一人有名な俳優を置いてハリウッドでやれば、原作が枯渇しているハリウッドでもそこそこヒットして、スタジオは一安心、というタイプの映画ではないんじゃないかな、と勘ぐっています。もう、そういう方法はたくさんとられ続けている。継続して出てきたら、「はいはい、堅い堅い」と、その原作を作った国(日本作に限らず)では思うのではないでしょうか?ハリウッドのスタジオたちは、アメリカ本国以外を完全に無視しているのでしょうか?

 

なぜ、そんな危険な道をあえて進むのか?

 

「ハチ公物語」自体は、少なくとも日本以外では、恐らくそんなに知られていない。それであれば「ハチ」という名前に固執する必要はないと思うんです。

まず、アメリカで作られる映画な訳ですから、「ジョン」でイイじゃないですか、「ジョン」で。日本人だって、ハリウッドのホラー映画のモノマネする時に出てくる犬の名前は「ジョン」と相場が決まっています。おそらく。

ハリウッドはそこまでして、伝わらないかもしれないリスクを背負ってまで、オリエンタルムードに固執する必要はないと思うんです。

でも、名前を「ハチ」にした。末広がりのありがたい「八」にあやかりたいとは思えない。これは間違いなく、昨今の日本の原作に頼ってきたハリウッドのスタジオ、いや、映画界の日本コンテンツへの挑戦です。

 

ハリウッドの歴史、世界屈指の泣かせ技術の挑戦

 

そこで、考えました。これはあえてアウェイの立場を選んでいるんじゃないか、と。動物もの、主演リチャード・ギア、そして泣き映画と考えたら、あえてアウェイに行く必要性は感じません。

しかし、タイトルを「Hachiko: A Dog's Story」とした。原作に対するリスペクトなのか、または何らかの契約の縛りなのか、真相は知りませんが、ボクは「ハリウッドの泣かせ技術は脚本や国境を選ばない圧倒的なパワー」であることを、改めて世界に知らしめる挑戦なんじゃないか、と思いました。

 

一番のポイントになる、主人公の犬の名前に、ほとんどの国の人が分からない「Hachi」という名前を使おうとも、そんなものハリウッドの太い腕がひとたび振り下ろされれば、知ったこっちゃありません。

しかも、原作は映画という同じ土俵で既に実現されています。そこにあえて挑むのも、「これが世界レベルの泣かせ技術だ!」という、他の追随を決して許さない、爆走体勢を名実共に明らかにするお膳立てに過ぎないのです。

 

Mr.泣き顔ダンディー・リチャード・ギア

 

4年ぶり2度目の日本原作への主演です。このキャスティングにも、ハリウッドが作り上げた「Mr.泣き顔俳優世界一」としての揺るぎなき自信と、あわよくばリチャード・ギアの日本原作作品主演のオリンピック化(4年に1度)すら狙っているのではないかと驚愕を覚えます。そう考えると、米公開の2008年の4年後、2012年にはおそらく『ドッペルゲンガー』あたりが、「まさかの2度目の役所広司被せ」「安心のブランド・ジャパニーズホラー(実際にはホラーではないですが)」「役者としての幅の広さみたいに見えやすい脚本」で鉄板かと思います。

そんなリチャード・ギアですから、たどたどしい発音で「ハァチィィ~」というだけで、日本人はすっかりリチャード・ギアの虜です。日本中が空前の「ハァチィィ~」ブームになる事は、ハリウッドの計算下にある事でしょう。

 

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そうやって考えて行くと、『HACHI 約束の犬』が実は物凄い野心作で、ただのお気楽ハリウッドムービーとは一線を画すものなんじゃないかな、と思い出して、どんどん観たくなってきます。

このように自分でモチベーションを限界まで上げてB級と思われる映画を映画館に観に行き、完全に心を折られて映画館から出てきて、そしてそこから這い上がったりする行為が好きです。

 

もちろん、『HACHI 約束の犬』はまだ観ていませんので、これらは全部妄想です。観に行きたいのはリアルです。

 

「HACHI 約束の犬」オフィシャルサイト。2009年8月8日全国ロードショー