そのドアを開けたらゾンビがいる

わかっているんだけどねぇ〜☆

バスマティを放り込め!

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先日、ようやく初めてサンバレーホテルで晩ごはんを食べてきた。

その日は4種類のおかずがあったのですべて頼んだ。初訪問にドギマギしている我々をお店の方はとてもソフトにエスコートしてくれ、肩の力はすっと抜けた。マトン・ヴェプドゥとチキンカリーにはロティが、アビエルとチャパラ・プルス(フィッシュカレー)にはバスマティライスがおすすめとの事でありがたくそれらもいただく。サイズ感もさらっとフォローしてもらえて助かる。

周りを見渡しても、騒がしくなく息苦しくもなく各席なんとも落ち着いたお客さんたちで埋め尽くされていて、その一員になれることへの嬉しさみたいなものすら感じてた。みんなカレーを心待ちにしているのだ。

しばらく待つと注文した料理たちが、おそらく記帳順(入店時の案内もそうであったと思う)に配膳されてくる。マトン、アビエル、チキン、フィッシュ、それぞれをまず一口ずつ体験しながらすでにもうどれもめくるめく美味しくて自分のテンションがどうにかしてしまいそうだった。言うなればソロを弾いているときのコーリー・ヘンリーのような表情でカレーを食べているようなテンションだ。


Snarky Puppy - Lingus (We Like It Here)

一通りソロでの感触をたしかめたのち、テーブルにはグルーヴが生まれ出す。こちらの皿からカレーを一口、そしてバスマティライスを放り込みさらに追いカレーを一口流し込むか別の皿にコードチェンジしていくか瞬時の判断が求められる。ライスに対してややカレーが優位になるとどうしても均衡を取りたくなり、はやる気持ちがワンモア、バスマティを我が口に放り込む。美味しいバスマティライスにはこの「放り込む」という表現がピカイチだ。『北国の帝王』よろしく蒸気機関車のスピードを上げるために火室に石炭をスコップで給炭する時のあの時の放り込み感、それこそがカレーが待つ口へバスマティライスを給米する感覚にピッタリだ。さらに熱は加速度を増すのだ。ブレイクは意図的に作ってやらないとこの楽しみが終わってしまう!という焦りにも繋がる。もうずっと食べ続けていたい、ただご飯を食べているだけなのに!各テーブルも食事を終える頃になると、お皿を下げがてらにお店の方としばしの歓談で暖かいムードが伝わってくる。それぞれがそれぞれの距離感でコミュニケーションを取っているようで非常に(その会話に参加するわけでも真剣に聞く訳でもないのに)心地よいものがあった。私はわちゃわちゃと書いてきたこのような事を伝えるわけでも伝えられるわけでもなく(こういう即興の場で音を出す事というか第一声をつかむ事が極端に苦手なため、大縄跳びに最後まで入れない子のように押し黙る事が多い)帰り際にかろうじてとっても美味しかった旨を伝えたが、本当は厨房にいたもう一人の方も含め小一時間くらいこういった事を伝えたいとすら思っていた。心境的にそれくらい美味しかった。

どのメニューも最高に美味しかったが、今日はその中のチャパラ・プルスことフィッシュカレーの事をぼんやりと考えていたので近い味をつい求め、夕食にトマトベースの野菜カレーに梅干しの酸味を効かせたものを作った。レシピはいつも渡辺玲さんの本*1を参考にしている。この本ははじめて目を通した時その初心者というか料理が苦手な人間にもわかりやすい心遣いに感動して以来、バイブルと化している。レシピにない梅干しを追加することを後から思いついてしまい、全体の塩っけが結果的にトゥーマッチになったという反省点が成果として残ったものの、それでもあっさりとした出来は個人的に悪くはなかったのだが、食べ終わり時間が経ってからあのサンバレーホテルで狂ったようにスプーンをフィッシュカレーとバスマティで行ったり来たりさせていた時に燃え盛る私のテンションを鎮火するためにアビエル(Avial)を一口持って来てあげることで一気に正気を取り戻しそのまろやかさに包まれる(ファ〜という天使の音すら聞こえた)、というループを楽しんでいたことを思い出し、今猛烈にココナッツかヨーグルトの効いた味が食べたい。というか、こういう場合は付け合せにそういった味付けのものを用意しておくべきだったんだという学びを得たので、今度はナイル善己さんの本*2にヒントを求め読んでいたら猛烈にお腹が空いて困っています。アビエルかココナッツチャトニーがあればよかったんだな。夜中にレシピ本なんて読むもんじゃないよね。

*1:

スパイスの黄金比率で作る はじめての本格カレー

スパイスの黄金比率で作る はじめての本格カレー

 

*2:

「ナイルレストラン」ナイル善己の やさしいインド料理

「ナイルレストラン」ナイル善己の やさしいインド料理